〜記事抜粋〜
25周年記念研修会を開催 河上元消費者委員会委員長など講演 日本生活向上協会
訪問販売実施・関連企業で構成する特定非営利活動法人・日本生活向上協会(事務局・東京都中央区、亀岡猷明理事長)は10月4日に創立25周年記念研修会(会場=銀座キャピタルホテル)を開催、有識者を招いた記念講演を行った。研修会で亀岡理事長は、消費者関連法の改正・運用の動きの解説など加盟社のコンプライアンス強化を目的としたこれまでの活動を紹介。25周年への感謝を述べるとともに、今後もこれら活動に力を入れていく抱負を語った。
特別講師でスピーチをした元消費者委員会委員長の河上正二 青山学院大学教授は、09年の消費者庁および消費者委員会発足から10年経過したことを踏まえ、発足の理念やこれまでの主な活動を紹介。最近の大きな動きとして、消費者契約法上の勧誘行為に「広告」も該当しえることが示された最高裁判決(17年1月)や”つけ込み型勧誘”の規制を目指す次期消契法改正、22年4月の成年年齢引き下げなどを指摘したうえで、「事業者と消費者はお互いに協力すべきパートナー」としてお互いが自身を”被害者”と見做す意識からの脱却を訴えた。
次にスピーチした松岡萬里野 日本消費者協会会長は、最近の消費者相談状況をPIO-NETデータを参照しながら解説。暗号資産(仮想通貨)や各種情報商材を餌にした新しい手口が次々に登場していることを受け、相談現場における対応も複雑化している現状が紹介された。また、トラブル処理の観点から相談現場ではあまり重要視されてこなかった消契法について、近年改正が重ねられ具体的な規定が追加されたことから、徐々に相談現場でも関心が高まってきているとした。
第一部(14時30〜15時00分)
「巣ごもり需要とヤバイ販促に注意を」
樋澤 誠司(広告法務研究所 所長)
第二部(15時10分〜16時)
消費生活センターのデジタル化へ
“大丈夫ですか管理体制は? “アフターコロナは進んでいますか?”
第三部(16時15分〜17時15分)
「経験から考える企業の感染症リスク管理とは」
松井 博太郎 先生(宗像久雄セカンドオピニオン院長)次回の研修会について
第一部(15時00〜15時50分)
「改正特商法における契約書面等の電子化、ほか」
大久保 滋 先生(CPR消費者問題研究所理事長)
第二部(16時〜17時)
亀岡代表:消費者基本計画(5ヵ年計画)の基本的制定の流れ
「改正消費者基本計画と最近多い消費者 トラブルの留意点」
福長恵子先生(NACS派遣担当講師) NACS 東日本支部支部長
NACS:(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
NACS110番実行委員会委員長(2020年)
次回の研修会について
第一部(15時10〜15時50分)
「昨今の行政動向の概要」
樋澤 誠司(広告法務研究所 所長)
第二部(16時〜17時)
「特定商取引法を中心に2020年振り返り&2021年法改正」
浅見隆行先生(アサミ経営法律事務所代表)
次回(9月17日金曜日)の令和3年第2回リモート研修会について
年頭所感
多事争論
特定非営利活動法人 日本生活向上協会
理事長 亀岡 猷明
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
ここ3年程のコロナ禍に於ける環境の変化は、消費者や行政や事業者も、必然的に常態化した行動となっています。巣ごもり需要や時差出勤、テレワーク等により、物の動きや管理手法もおのずと変わり、当協会でも年4回の研修会の内、3回はリモート研修会となりました。
研修会では、CSR(企業の社会的責任)研修会として、現在の消費者関連の法令や行政等の動向が中心なっています。又、私が長年各地の消費生活センター等を巡回していました関係で、当協会会員企業の相談情報を収集して、年2回の研修会にその内容を元にして当該企業の指導に当たっております。
然しながら、昨今のコロナ禍に於ける事業者等の消費生活センター訪問は、 感染症の性格柄、その感染拡大が地域社会や行政の麻痺に繋がる事を意味しています。その為私は、当該消費生活センター訪問では、事前に調査対象の企業一覧の他に、私のインフルエンザ予防接種済証・5回目新型コロナウイルスワクチン予防接種済証(前年末現在)を同時FAXして訪問し、又訪問しない条件の項目としては、当該調査対象企業において、指導が必要とは思われない様な消費者からの相談内容(クーリング・オフ関連や当該企業の信用性告知要求等)については、電話連絡の他に該当する項目に印を付けてFAXやメール等で連絡をして頂き、出来るだけ訪問等の接触を避け、お互いに協力し合う様に致しました。
昨年の研修会では、当協会の位置するところから東に150m先に慶応塾発祥の地があり、福沢諭吉の「多事争論」の言葉の意味するところを現在の社会環境に置き換えてお話し致しました。
「多事争論」とは明治の初期に文明論の概略として、異なる意見を出しあい議論することと書かれています。研修会に於ける現在の「多事」として、専制主義と民主主義、戦争と物価高、温暖化による災害とコロナ・インフルエンザ、宗教まで等々、政治に対する不信論もお互いの意見として話し合われ、全て、人間が作り出したものとの結論で終わりました。やはり「争論」は必要かも知れませんね。最近特に、ストレス解消が必要ではないでしょうか。
新年を迎えるにあたり、当協会のCSR研修会をつうじて講師として講演頂いております先生方々のご意見やご指導を賜り、今後も手探りでは御座いますが、励んでいく所存でございます。業界の皆さま方、特に健全な消費社会実現に努力し改善していこうと志す事業者方々、ぜひ当協会の活動にご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げると共に、皆様方のご健康とご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
激変する社会の中で、価値の創造を
特定非営利活動法人 日本生活向上協会
理事長 亀岡 猷明
8年前、ギリシャの国家ぐるみの粉飾決算から端を発した政策は、南欧を中心としたユーロ圏全体を巻き込み、更に、EU諸国全体の政治・経済にまで影響を及ぼす事となりました。自由な競争や貿易を求めたグローバル経済社会に試練が訪れ、南欧中心の失業率の高さ・格差社会や難民問題は、EU諸国に右傾化した政党やナショナリズムを台頭させ、(大衆迎合の)ポピュリズムが去年の6月に英国において、国民投票でEU離脱を選ばせるという衝撃的な結果となった事は記憶に新しい。
又、更に我々が驚かされたのは、12月の米大統領選であります。英国同様に不安をあおる言説が、内向きの保護主義を誘発させ、正に民主主義が資本主義に変革を求めさせる結果となったと言えましよう。我々が願う事として敢えて一言でいえば、良きトランプノミックスになるよう願う以外にありません。
12月のイタリア国民投票、オーストリアに続き今春のフランス大統領選や秋にはドイツ総選挙がございます。トランプ効果が波及して再びユーロ圏へとブーメランのように反EU、反グローバル化の波が揺り戻されていくのでしょうか。
さて、海外事情はさておき、国内では新三本の矢の一つである第4次産業革命に向け、新市場創出の具体策が描かれています。 そこにはビックデータで集約されたIT活用、モノとインターネットがつながるIOT技術により、AI(人工知能)やロボット利用など、新しいサービスへ変化をとげています。言い換えれば、集中から分散、独占から共有へと夫々一人一人が消費者であり生産者である社会へと、消費者の価値観がかわり、人々の暮らしや環境が一変させる政策が多くみられます。
これらの具体的政策などを当協会の研修会(年6回)のプログラム「時事ニュース」で学んだり、最近の消費者事情を外来の講師に講演をおねがいしたりしています。
現在では、去年の4月から不当表示に対して課徴金制度が、10月からは集団的被害者回復訴訟制度が既に制定されています。要は、ホームページ等による虚偽・誇大表示に対して、罰金による多額の返金を覚悟しなけらばならない、既にカウントされ始めていますよ、という事です。特に連鎖販売や通信販売における表示媒体には十分な注意が必要となって参ります。
更に今年は120年ぶりの民法大改正により約款の見直しや、改正消費者契約法、 改正特定商取引法による特別の管理体制が必要となって参ります。その為、今後も消費生活センター巡回や改正法を含め、多くの消費者関連情報を関係企業等に発信し、共に成長できるよう努力して参りたいと思っております。
業界の皆さま方、特に健全な消費社会実現に努力し改善していこうと志す事業者方々、ぜひ当協会の活動にご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げると共に、皆様方のご健康とご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
〒104-0045
東京都中央区築地7-7-8-1005
TEL 03-6906-7091
FAX 03-3545-2122
2023年3月10日(金)
令和5年度 CSR研修会 第二回リモート研修会の開催を
2023年6月2日(金)
に予定しております。